【保存版】山口治明最後の講義を書き起こしてみたら、人生に対する考え方が激変した。

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読破した本は1万冊超という超・教養人の出口治明さん。出口さんが出演したNHK「最後の講義」を書き起こしてみました。出口さんの語る言葉は、とても刺激的。書き起こしながら、人生に対する考え方が激変しました。 90%以上の人はやりたいことが見つからない? 人間はあきらめが一番? 新時代の日本で生きるヒントが満載です。

出口治明おすすめ本

ユキヒデ
ユキヒデ

どーもユキヒデです。(@hero_desu4 )
人生について考え方が変わりました。あらゆることにチャレンジしはじめました。
人生に悩んでる方に、
ぜひ読んでいただきたいです。

もし今日が人生最後の講義だったらどんなメッセージを残すのか?というコンセプトのもと出口治明さんが語る最後の講義。NHK最後の講義の全文書き起こしです。

出口治明最後の講義

はじめに僕は偶然で今立命館アジア太平洋大学(以下APU)の学長をやってるわけです。たまたまAPUが学長の国際公募をやっていて、本当に偶然なですけど誰かが推薦してくれました。「推薦されているけれどインタビューを受けませんか?」と言われたんです。でも、公募だったら条件があるでしょ?と聞いたら

「はい、3っつあります。ドクター、英語がペラペラ、大学の管理運営経験がある」と言われたんですが、
どれも僕にはないんです。何人候補者がいるんですか?と聞いたら「104名ノミネートされています」

それ聞いた時に受かるはずがないけど学長の公募ってどんなインタビューなんやろ、面白そうやなと思って受けてしまったら選ばれてしまったんで、頑張るしかないです。

これ全部本当の話です。

実は人間のモチベーションていうのは諦めることから生まれる気がします。諦めるって言うことは、もうちょっと丁寧に言えば現状をリアルにそのまま受け入れるって言うことです。それが実はモチベーションの原点だという気がしています。

運と適応。〜小学校から就職まで〜

僕は子供の頃ガキ大将でした。しょっちゅう喧嘩やってました。最近は喧嘩をやったら叱られるか分かりませんが、僕はいまもう72歳ですから・・・半世紀以上前は、よく喧嘩してました。

僕は小学生の頃一番背が高かったんで、だいたい勝ってました。でも、喧嘩って一方的に勝てないんですよね、5発くらい殴って勝つんですけど、3発くらいは殴られるんですよ。

僕は、そういうガキ大将だったので中学1年生の頃、アレキサンダー大王に凄い憧れてたんです。だって10年も戦争して勝ち続けるってカッコイイでしょ?だから図書館でアレキサンダー関係の本を読み漁ってました。

不思議に思ったのは、10年間ずっと勝ち続けるんですよ。コレ変でしょ?喧嘩でも5回殴ったら、3回くらいは殴り返されるんですよ?こっちもダメージ受ける。

なんでだろう?と考えて本とか辞書とか読んでるとインダス川のほとりでギリシャから援軍を受け取っているという記事があって、そこでなるほどと思ったんです。同じメンバーで殴り合いやってたらこちらもダメージ受けるけれど、新しいメンバーが来たら勝てるよね。そこではじめて腹に落ちたわけです。

こういうふうにエビデンスを突き詰める。なんで?なんで?なんで?と考える癖がついたんだと思います。


僕の頃は、全共闘運動と言って学生運動のピークだったんで大学がバリケード封鎖されていて入れないんで、今のみなさんと同じようにステイホームしかできなくて下宿でずっと本を読んでました。

18歳で下宿すると天国だと思ったんですよね。だって門限ないでしょ?朝起きなくても誰も怒らないでしょ?だから先輩に聞いたんですよ「大学って何年居れるれんですか」?って。8年居れるって言われたんで8年間居ようと思っていたら、親にどつかれたんですよ。「お前何考えとんねん!弟もいるで」と。

それでかなり悲しくなって、じゃあ、こんな楽しい大学出なきゃいけないんだと思って、何になろうかと考えたんですが、なりたいものもなかったんです。せっかく法学部に行ったんだから、弁護士になろうと思って漠然と司法試験の勉強をはじめました。

落ちることを考えてなかったので、就活は一切しなかったんですが、僕の友人と生協の食堂でご飯食べていた時に「どっか滑り止めに会社一個くらい受けといたら安心やで」と言われたんで、僕はだいたい誘いを断らないタイプなんで、彼に黙ってついて行ったんです。

当時はものすごい売りて市場だったんです。面接で「正義の弁護士になるつもりですが、万が一落ちたらマズイんで滑り止めで会社を受けに来ました」といったら、会社の人は「キミらきっと受かるけど落ちたら引き受けるから心配せんと勉強せい」と言ってくれたので、偉いかんたんやなと思ってそのまま下宿にかえちゃったと。で、司法試験落ちてしまったから他に行くところはないんですよ。これが就職ですよね。そんなもんだと思います。

人間社会を理する理論はダーウィンだと思います。ダーウィンのの議論は御存知ですよね?

何が起こるか誰にもわからへんで。世界中でコロナウイルスこれほどまでに猖獗(しょうけつ)を極めると想像した人は誰もいませんよね。何かが起こった時に強いものや賢いものが生き残るんちゃうで。とダーウィンは言ってますよね。

運と適応。運というのは偶然ですよね。何かが起こる誰かに会う。その時に適応してアジャストしたものだけが生き残るというのがダーウィンの真髄ですよね。だから僕は人生をそのように考えています。

まずは、イエス。〜会社員から企業。そして学長になる〜

あんまり矛盾を考えることなく、のんべんだらりと会社員生活をやっていたんですけど、部長になった時に当時の社長と喧嘩して、喧嘩してたというか、意見が全く違って、子会社に出向になって、暇でぼーっとしていたら友だちに誘われてある人に会って保険会社を作りませんか?と言われたので、暇だし面白そうやなと思って、「はい」と言ってしまって還暦でライフネット生命を起ち上げることになったんですよ。偶然です。

どうやったらいい人に出会えるか?みんな聞きたいと思いますよね。この答えは簡単です。そんなもん分かったら誰も苦労しやへんで。っていうのが答えです。

人と会おうとと思ったら、まずイエスしかないということがわかるでしょ?面白い人がいるから一緒に遊びに行かない?と言われたら、まずイエスの方がいいと思います。で、つまらなかったら、ごめんちょっとお腹が痛くなったって言って帰ればいいだけでしょう?だから色んな人から学ぼうと思ったら好き嫌いを捨ててイエスという気持ちで色んな人に会ってみる。そういう気持ちがなければなかなかいい人には出会えないと思います。まずイエス。覚えておいてください。

ライフネット生命を10年やってきて、ちょうど売上が100億円を超えたんで、0からはじめて。若い人に任せたほうがええかなと思って取締役を辞めました。還暦ベンチャーの後は、古希学長になりました

世界の捉え方

どんなモノゴトでも何かを考える時にいちばん大事なことは、まず、現状を分析することだと思います。人間は見たいものしか見ない動物ですから。なかなか世界をフラットに見ることはできません

僕はいつも世界を見るのはこの3っつ方法がある縦横算数です。

縦は、人間の脳みそは一万年進化してませんから、昔の人はどう考えたのかということを見ることですよね。

横は、世界の人はどう考えているのか。人間は同じホモサピエンスという単一種ですから考えることは一緒です。

例えば僕は中学校の歴史の時間に、源頼朝は、平政子、北条政子と結婚して鎌倉幕府を開いたと習いました。これを素直に見たら日本は夫婦別姓の国だと言うことがすぐに分かりますよね。じゃあ、世界はどうかといえば、OECDと呼ばれている37の先進国の中で法律婚の条件として夫婦同姓を強制している国は、実は日本を覗いて皆無です。この縦横がわかれば、夫婦別姓みたいな考えは「日本の伝統ちゃうで」とか、「家族壊すで」とか言っているオバサンやオジサンは、単なる不勉強かイデオロギーや思い込みが強い人やなということがわかりますよね。

もう一つは算数です。数字ファクト、ロジックと言ってもいいと思います。どんな問題でもデータでチェックするエビデンスベースで考えることは大事ですよね。

平成の30年間GDPの世界シェアは9%から4%に落ちました。ちょっとまずいですよね。同じように平成元年の世界のトップ企業20社の中に日本企業が14社いたけれど今はゼロになった。データで見たらちょっとマズイですよね。問題はこの30年間になんで落ちてしまったんだろう?

みんなはもう答えを知ってますよねGAFAと呼ばれる新しい企業群、その予備軍と目されるユニコーン企業。新しい企業が日本ではあまり生まれなかったということがその原因です。女性の皆さんは121位ショックって聞いたことありますよね日本の女性の社会的地位が153カ国中121だということです。なんでこれがユニコーンと関係があるんだろうめちゃ関係があります。

GAFAやユニコーンのほとんどはサービス産業でしょ?サービス産業のユーザーは全世界で見て7割が女性です。それに対して日本経済を支えてると自負してるのは50代、60代のおじさんですよね。
つまり需要と供給のミスマッチが生じている。だからヨーロッパ等ではクォーター制とか女性の地位を引き上げようと必死になってやっているのは男女同権だけではなく、社会の構造が変わったら、需給ギャップを埋めなければ豊かな生活ができないということですよね。

サービス産業はアイデア勝負ということです。アイデアで勝負するんだったら好きなことを徹底的に勉強した人がたくさんいる社会のほうがアイデアが出ますよね。日本は大学進学率も実はOECDの平均より7ポイント低い、大学院生はもっと少ない。つまり日本はあまり大学や大学院に行かない国なんです。さらに社会人になったら2000時間労働で帰ったらクタクタになりますよね。ヨーロッパと500時間以上違うということは毎日2時間3時間違うということです。つまり日本人は勉強嫌いなんじゃないですよね。したくてもできないんです長時間労働では。

日本にGAFAやユニコーンが生まれなかった理由は3っつあります。女性の社会的な進出が低いダイバーシティーがない勉強する時間もない。これが日本の低迷の根本原因だと思います。

学生との質疑応答

女性Aさん
女性Aさん

日本の視点で見ると国民一人あたりのGDPをもっと上げないといけないというのはわかるんですけど、そもそも比較的に高い方である日本の世界シェアが今後もっと高くなる必要があるのでしょうか?

一人あたりのGDPって最近のデーターで26、27位じゃないですか、それでいいですか?

出口治明さん
出口治明さん

それでもまだそれより低い国があるじゃないですか?

日本は世界で一番高齢化が進んでますよね。
高齢化になったらお金がかかるのはわかりますか?
介護とか病院に行く回数も増えますよね。世界で一番高齢化が進んでるということは今のままの状態を続けてるだけでも出費がかさむから、だんだん貧しくなるということを意味しますよね。
だから少なくとも先進地域で比べれば、高齢化が一番進んでないアメリカが3%成長。ヨーロッパが2%成長です。日本が1%。相対的に貧しくなってみんながハッピーかということです。歴史を見てると生活水準が徐々に下がっていって良い社会をつくったケースないんです。

たとえばお父さんの給与が毎月下がっていった。お母さんの給与が下がっていった。でもアフリカの子どもたちと比べたらハッピーだ。ということで我慢できるでしょうか?
僕は高齢化が進んだ分は取り戻して現状をキープするくらいの成長がなかったら社会の安定は保てないような気がします。だんだん気持ちが荒んでいくと思います。

出口治明さん
出口治明さん

女性Bさん
女性Bさん

どうしたら人が自分の加害性と向き合えるのでしょうか?性暴力でも虐待でも権力を持っている側の人ほど、自分の加害性について受け止めてもらえないなと感じているんです。

地位が高い人ほどアンコンシャス・バイアスが強いんですよね。教育とか知識がすごく大きいんですけど、もう一つ大きいのは人々の意識とかアンコンシャス・バイアスは何が作っているんだろうと考えたら社会構造なんですよ。
だからこれは政策の問題であって、社会の構造に問題があるということを明確に意識をして、社会の構造を変えていく面と人々の意識を変えていく面。この両方で取り組まなければいけないですよね。
人々の意識とか教育とか知識の話に限定されるとどうしても自己責任論という迷路に陥っちゃうんですよ。たとえばDVなどはほとんど貧困とか職場におけるハラスメントとかいろんな構造があってDVとかに姿を変えるですよね。
だからこの問題は根本には男女差別があると思いますけど、そういう社会の構造を変えていかなければいけない。構造のわかりやすい例をいえば、性分業を推進している配偶者控除や第3号被保険者をなくすところからはじめなければいけないと思います。

出口治明さん
出口治明さん

男性Aさん
男性Aさん

採用担当者とか人事の方向けにコンサルティングをしているのですが、その中で「現状維持で」とか「前年踏襲で」とか「周りが動いてから」とか腰の重い大人たちを間近で見て来ている中で、いかにその人たちを動かしていくかと言うのが僕の中での課題になっているんですけど

そういうオジサンが多い会社は自然と滅んでいくんで、よく僕らは錯覚でね全部を生かさなきゃいけないと勘違いするけど、ゾンビ企業をたくさん大事にすればするほど社会の活力はなくなるんですよ。だから、全部を救おうという考え方は間違ってますよね。
大事なことはやっぱり新陳代謝を良くすることなんですよ。自然界というのは死んで生まれて良くなっていくんです。
社会も一緒でゾンビ企業はどんどん潰れて潰れなければ新しいモノは生まれてこないんですよ。
だからむしろ、そういう古い会社は潰れたほうがいいと言うことをこれからははっきり言っていくべきだと思いますよね。

つまり、結局部分最適と全体最適の問題ですよね。
ビジネスをやっていたら部分最適ってわかりますけどね、その時には部分最適だけではなく、全体最適のことを考えながら対応したほうがいいと思います。

出口治明さん
出口治明さん

女性Cさん
女性Cさん

私自身、生まれつきの疾患によって手足が不自由なんですけど、私が感じている正直なところインクルーシブ、ダイバーシティって言葉が先行してしまって、なかなか現状として進んでないなって思うところがあるんですけど。

一番大事なことは、そういう問題があることを知ることだと思います。知識は力である。Knowledge is power というフランシス・ベーコンの言葉があるんですけど。
最近、僕自身がすごく感動したのはIBMで全く目の見えない方がいらっしゃいました。
その人は、目の見えない人用の音声だけでデバイスと人間がインターフェイスをできる研究がしたいと言う話を上司にした。でもなかなか認められなかった。全盲の人は数が少ないから商売にならないという話だったんです。
ところが彼女は我慢強く言い続けて開発した。そしたら分かったことはマーケットは実はメチャクチャ広い。例えば年をとってタイプができない人。つまり考えてるより遥かにビジネスの範囲が広がった。
その人が言い切ってました。私はハンデがあると考えていたけれど、今はハンデと思わない。
目が見えないということは私の個性なんだと。
だから、自分の置かれた状況の中でできることにチャレンジすることは、実は自分が考えている以上の大きい影響大きいマーケットを拓くんだと。
日本では男女差別やハンデの方に対する差別がすごくありますよね。でもこれはみんなでお互いに知ることで、こういう事例が沢山あることをみんながシェアすることでちょっとずつ前に進むことができる気がしますよね。知らなかったら進めないですよね。

出口治明さん
出口治明さん

男性Bさん
男性Bさん

死生観についてどのような考えをお持ちですか?

これは極めてシンプルで、人間は星のかけらから生まれたんだから、星のかけらに戻っていくだけなんで死生観という大したもんはないですね。
そんな偶然でしょ?だって、この講義が終わった後交通事故に会って死んじゃうかも知れないんで。考えても仕方のないことは考えないんで。僕自身も星のかけらつくられているんで、死んだらまた星のかけらに戻ってどこかでなにか新しいモノを生むと思ったらワクワクドキドキするじゃないですか。

出口治明さん
出口治明さん

最後に出口治明さんが伝えたかったこと

僕は本が大好きで、本を読んできたら、人間の人生って自分で選べるわけではなく、いろんな出会いの中で人生って決まっていく。たとえば、大坂なおみ選手のような人って数十万人に一人しかいませんよねもっと少ないかも知れません。ほとんどの人が大坂なおみ選手のようなずば抜けた個性は持っていないと思います。

そうであれば迷うのが当たり前ですよね、しかも勉強すればまた好きなものは変わっていきますよね。だから、やりたいことや好きなことが見つからなくても焦る必要はまったくないと思います。一生かかって探せばいいだけです。だから僕自身は人生って、川の流れに流れて行くようなものだと思っています。

やりたい事がある人は、目標に向かって泳ぎ切ればいいと思います。でも、まだやりたいことや好きなことが見つからない人は流れていっていいと思います。で、流れ着いた所で一生懸命やってみれば面白いものが見つかるかも知れない。僕の場合は明らかにそうです。司法試験に落ちたので日本生命という会社に入り、その後ベンチャーを起ち上げる機会に恵まれ、偶然で今APUの学長をやっているわけですよね。だから、運は左右できないと思っています。人間はそんなに賢くもないし強くもない。僕は今、せっかくAPUという岸に流れ着いたわけですから。これも運命ですからAPUを少しでもワクワクドキドキする場所に変えたい。せっかく流れ着いたんだからここでめいいっぱい頑張りたいと思います。

人生100年で、皆さんの平均年齢って20歳ぐらいですよね、まだ80年もありますから。プロに言わせればどんなことでも3年一生懸命やれば、ほぼプロになれるといいます。80年を3で割ってください。いっぱいできますよね。

好きな言葉があるんですけどGo where nobody has gone, Do what nobody has done(誰も行ったことのない場所へ行け。そして誰もやらなかった事をやれ)凄い好きな言葉です。チャレンジしてください。今日は聞いてくださってありがとうございました。

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